「とろみ食」と「嚥下食」の違いって?初心者にもわかるやさしい解説

嚥下食イメージ

飲み物を飲んだときに「むせる」ことが多くなった――そんなときに登場するのが「とろみ食」や「嚥下食」です。

とろみ食は、飲み物などにとろみ剤を加えて飲み込みやすくした「嚥下食」の一種です。しかし、嚥下食といってもその種類はさまざまで、混同されやすいのも事実です。
このコラムでは、「嚥下とは何か?」という基本から、とろみ食の特徴や種類、作り方までをわかりやすく解説します。

嚥下とは

「嚥下(えんげ)」とは、食べ物や飲み物を口に入れて噛み砕き、喉・食道を通って胃に送るまでの一連の動作を指します。
この働きが加齢や病気などで低下すると、飲み込みにくくなったり、食べ物や液体が気管に入って「むせ」や「誤嚥(ごえん)」を起こしたりすることがあります。

特に高齢者では、誤嚥が原因で肺炎を引き起こす「誤嚥性肺炎」のリスクが高まるため、適切な食事形態への調整が必要です。

嚥下食ってなに?

嚥下機能が低下した方でも、安心して食事ができるよう工夫されたのが「嚥下食」です。
嚥下食は、噛む力や飲み込む力に応じて食べ物の形状や硬さ、粘度などを調整した食事全般を指します。

代表的な嚥下食には以下のような種類があります:

・刻み食:食材を細かく刻んで飲み込みやすくした食事
・ペースト食:食材をすりつぶしてなめらかにした食事
・ゼリー食、ムース食:飲み込みやすいゲル状の食事
・とろみ食:液体にとろみをつけてむせにくくした食事

このうち、「とろみ食」は飲み物や汁物にとろみを加えることで、誤嚥を防ぎやすくする重要な食形態です。

嚥下食の中のとろみ食とは?

とろみ食とは、水分に「とろみ剤(とろみ調整食品)」を加えて粘度を高め、飲み込みやすく調整した液体のことです。
誤嚥しやすい水やお茶、スープなどにとろみをつけることで、飲み込むときにゆっくり喉を通り、気管に入るのを防ぎます。

とろみ食のイメージ

とろみ食の3つの分類

とろみ食は、とろみの強さ(粘度)の違いによって大きく3つのタイプに分けられています。これは、食事の提供時やリハビリ、栄養ケアの場面で非常に重要な指標になります。

分類
特徴スプーンでの状態コップでの状態
薄いとろみ
わずかにとろみがある状態傾けるとすっと流れるうっすらと跡が残る程度の付着
中間のとろみ
明らかにとろみが感じられるとろとろとゆっくり流れる全体にコーティングしたように付着
濃いとろみ
非常に粘度が高く流れにくい傾けても形状がある程度保たれるほとんど流れ出ない

とろみ食は作り方

とろみ食は、「とろみ剤(とろみ調整食品)」を使って簡単に作ることができます。市販のとろみ剤はドラッグストアや通販でも購入可能です。

作り方のポイント
1.液体を先にカップなどに入れる
2.とろみ剤を少量ずつ加える
3.しっかりかき混ぜる(粉が残らないように)
4.数分置いて粘度を確認する

※とろみ剤によって粘度の出方や固まるスピードが異なるため、製品ごとの説明書をよく読むことが大切です。